コミュニケーション

現代社会での個人のリスクとその管理:リスクマネジメントとクライシスマネジメント

現代社会では、私たち一人ひとりが様々な危機(クライシス)に直面する可能性があります。それらは自然災害や経済的リスク、SNSでのトラブル、健康問題など多岐にわたります。

そこで今回は、

  1. 想定される個人の危機(リスク)とは?
  2. リスクを未然に防ぐリスクマネジメントの方法
  3. 実際に危機が訪れた時のクライシスマネジメントの対応

この3つの観点から、 個人ができるリスク管理 について詳しく解説していきます。


個人が直面する可能性のある危機(リスク)とは?

現代社会では、個人がさまざまな危機に直面する可能性があります。以下のようなリスクが考えられます。

 SNS・インターネットでのトラブル

  • SNSでの発言が炎上し、誤解や批判を受ける
    炎上事例
    SNSでの炎上は決して芸能人など特殊な人だけの話ではありません。自分で行った投稿をきっかけに炎上が起こることもあれば、親しい仲間内で軽はずみに行った不適切な行動が何者かによって撮影されSNSにアップされて炎上が起こることもあります。
  • 個人情報が流出し、悪用される
    個人情報流出
    気軽な投稿によって個人情報が流出するケースもあります。顔が映っていない画像でも、制服やバッグ(学校や幼稚園が指摘するもの)などから通っている学校や幼稚園がわかることもあります。
    画像や動画、個人情報(通学先・通園先がわかる情報、住所が推測される情報等)をSNSに投稿していると、子どもが誘拐などの犯罪に巻き込まれる可能性もあります。
    また、高額バイトや高収入バイトといったいわゆる闇バイトにSNSなどを通じて応募してしまうと、個人情報が悪用されると考えるべきです。
  • なりすましアカウントを作られる
    SNSのアカウントが乗っ取られて悪用されるケースもあります。詐欺に利用されたり、スパムメール(※)の発信元になったりことがあり、自分のアカウントが悪用されて友人などが詐欺やスパムメールのターゲットとなることがあります。

経済的なリスク

  • 突然の失業や収入の減少
  • 投資や詐欺による金銭的損失
  • クレジットカードの不正利用

仮想通貨詐欺の最新手口
仮想通貨(暗号資産)詐欺とは、暗号資産を悪用した不正な取引や投資詐欺のことです。具体的には、偽のICO(新規仮想通貨公開)を利用した勧誘や、フィッシング攻撃によって個人のウォレット情報を盗む詐欺などがこれに該当します。

 健康や事故のリスク

  • 病気や怪我による長期的な治療費の増加
  • メンタルヘルスの問題(うつ、ストレス過多)
  • 交通事故や災害などの突発的な事故

人間関係のリスク

  • 職場や学校でのハラスメントやトラブル
  • 家族や友人との関係悪化
  • 借金の保証人になり、経済的負担を抱える

法的リスク

  • SNSやブログでの発言が名誉毀損になる
  • 知らないうちに違法行為に関与してしまう
  • 契約トラブルに巻き込まれる

これらのリスクは、「自分には関係ない」と思っていても、いつどこで起こるかわかりません。では、どうすればこうしたリスクを未然に防げるのでしょうか?


リスクマネジメント(危機を未然に防ぐ方法)

リスクマネジメントとは、 危機を事前に予測し、未然に防ぐための行動 です。
「もし〇〇が起きたらどうするか?」を考え、対策を講じておくことで、実際に危機が発生した際の影響を最小限に抑えることができます。

SNS・インターネットのリスク管理

プライバシー設定を強化
→ SNSのアカウント設定を「非公開」にする、個人情報をむやみに公開しない

投稿する前に一呼吸置く
→ 「この投稿は誰が見ても問題ないか?」を考え、誤解を招く表現は避ける

強いパスワードを設定し、二段階認証を使う
→ 不正アクセスを防ぐために、定期的にパスワードを変更する

経済的リスク管理

緊急時の貯金(生活防衛資金)を確保
→ 収入がなくても3~6ヶ月は生活できる資金を用意する

詐欺や投資に注意する
→ 「すぐに儲かる話」は疑う!公式な情報源を確認する

保険を活用する
→ 失業保険や医療保険に加入し、万が一に備える

健康や事故のリスク管理

健康診断を定期的に受ける
→ 早期発見・早期治療でリスクを減らす

ストレス管理をする
→ 趣味や運動、適度な休息を取り入れる

交通安全を意識する
→ 自転車・車を運転する際は、安全確認を徹底する

人間関係・法的リスク管理

契約書はしっかり読む
→ 仕事や賃貸契約を結ぶ前に、細かい条件をチェックする

トラブルになりそうな話には関わらない
→ お金の貸し借りや、友人の保証人になるのは慎重に判断する

職場や学校での問題は早めに相談する
→ ハラスメントやいじめは一人で抱え込まず、信頼できる人に相談する

リスクマネジメントの基本は、 「問題が起こる前に備えておく」こと です。
しかし、どんなに気をつけていても 「予想外の危機」 は発生します。
では、実際にクライシス(危機)が発生した時はどう対応すればいいのでしょうか?


クライシスマネジメント(実際に危機が起こったときの対応)

クライシスマネジメントとは、 実際に危機が起こったときに、被害を最小限に抑えるための対応 です。具体的にどのように対応すればよいのか、例を交えて説明します。

SNS・インターネットのクライシスマネジメント

  • SNSで炎上した場合
    → すぐに感情的な反応をせず、冷静に事実確認をする
    → もし誤解があれば、正しい情報を伝える
    → 自分に非がある場合は、速やかに謝罪し、改善策を提示する

経済的危機のクライシスマネジメント

  • 突然の失業に備える
    → 失業保険を申請し、生活費を確保する
    → 次の仕事探しのために、スキルアップを図る

 健康・事故のクライシスマネジメント

  • 病気や怪我をした場合
    → すぐに病院へ行き、適切な治療を受ける⇒体調不良時は速やかに専門医に相談を

    人間関係・法的トラブルのクライシスマネジメント

  • トラブルに巻き込まれた場合
    → 一人で解決しようとせず、弁護士や専門家に相談する
    → 事実関係を整理し、冷静に対応する

まとめ:リスクに備え、冷静に対応しよう!

リスクの種類 リスクマネジメント(予防) クライシスマネジメント(対応)
SNSトラブル プライバシー設定強化、投稿前に確認 炎上時は冷静に対応し、必要なら謝罪
経済的リスク 貯金・保険・詐欺対策 失業時は保険申請・スキルアップ
健康・事故 定期健診・安全対策 すぐに医療機関を受診
法的トラブル 契約書の確認・トラブル回避 弁護士・専門家に相談
2024年SNSトラブル実態調査
なりすまし 32%
誹謗中傷 45%

日本リスクマネジメント協会 https://www.arm.or.jp/

SNS炎上事例3選と最新仮想通貨詐欺手口

2024年発生したSNS炎上事例

  1. インフルエンサー危険動画問題(2024年4月)
    人気YouTuberが過激な動画チャレンジを公開し、「青少年への悪影響」として批判が殺到。動画削除後もスポンサー契約解除が相次ぎ、チャンネル登録者数が30%減少。
  2. 文化盗用広告トラブル(2024年2月)
    ファッションブランドが伝統文様を無断使用したInstagram広告が「文化搾取」と炎上。投稿から48時間以内に謝罪文を公開し、広告を全面差し替え。
  3. 政治発言誤解拡散(2024年3月)
    被災地支援に関する議員の発言が一部切り取られ拡散。「#首相辞任」がトレンド入りし、支持率が5ポイント低下。

仮想通貨詐欺の最新手口

① アドレスポイズニング(2024年DMM事件)
取引履歴に偽のウォレットアドレスを紛れ込ませる手法。2024年国内取引所で480億円流出事故が発生。

② AI音声合成詐欺(2025年沖縄事例)
著名投資家の声をAIで再現し「限定投資案件」を勧誘。50代女性が1600万円被害に。

[注意喚起]仮想通貨取引時の確認ポイント

  • 送金アドレスの先頭・末尾5文字を照合
  • 二段階認証の必ず設定
  • 不審な勧誘は金融庁HPで検証

体験談:私が遭遇したSNSなりすまし被害

2024年秋、フォロワーから「変な投資広告をシェアしている」と連絡が。偽アカウントが私のプロフィールを複製し、仮想通貨詐欺リンクを拡散していました。

対応の流れ

  1. スクリーンショットで証拠保全(5分以内)
  2. プラットフォームへ偽アカウントを通報(24時間以内)
  3. 本アカウントで注意喚起投稿

被害影響

  • 信用回復に3ヶ月を要す
  • フォロワー数が15%減少
  • 企業協働案件1件キャンセル
    ※個人情報保護のため詳細を加工しています

リスク管理チェック表

様々なリスクに直面した際の対応についてまとめています。

リスク種類 具体事例 予防策 緊急対応
SNS炎上 文化盗用広告 投稿前多角的リスク評価 48時間以内公式謝罪
仮想通貨詐欺 AI音声詐欺 取引履歴の二重チェック 72時間以内金融庁相談
なりすまし アカウント複製 定期的な名前検索 1時間以内通報対応

専門家の見解

「2024年のSNSトラブルはAI技術の悪用が急増。定期的なデジタルフットプリント確認が必須」
日本サイバーセキュリティ協会 2024年レポートより
https://www.nttdata.com/global/ja/-/media/nttdataglobal-ja/files/news/topics/2024/112700/112700-01.pdf?rev=30328c8941a34e598b9290773c77837a

デジタルフットプリントとは、インターネット上に残される特定個人のオンライン活動に関する情報です。Web閲覧履歴やcookieなどの受動的な性質のものと、SNSでの投稿や送信メールなどの能動的な性質のものとがあります。

【検索エンジンで確認する方法】
  1. 検索エンジンに自分の氏名またはメールアドレスを入力します。
  2. 検索結果に、オンラインで公開されている情報が表示されます。
【ダークウェブスキャンで確認する方法】
  1. 無料のダークウェブスキャンを利用します。
  2. 自分の名前とメールアドレスを入力します。
  3. オンラインツールがダークウェブをスキャンして、入力された情報とダークウェブで利用可能な情報を照合します。
  4. 一致する情報が見つかると、通知が送られます。

 

 

 

 

 

 

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